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そんな私のやっとのプライドを一気に崩すようにこの人は、少しの熱と物憂げさを含め言って退けるのだ。
「俺は、すごく寂しいよ」
「……っ!?」
それは狡い。
私は日々言葉を飲んでいたのに。
「ねえ、平気だった?」
今度は余裕が取れる声。
きっと会社の椅子に足を組みながら座り、にやつきながら話しているに違いない。
本当に腹が立つ。
気を落ち着けたくて、結露した発泡酒の缶を乱暴にたぐり寄せ、ぐいっ、と喉に流し込み、
「当たり前でしょ? そんなこと言えるほどもう若くないの」
随分と可愛げのない言葉を返した。
本当はこんなことが言いたいわけじゃない。
「そういえば、ライン見たよ。もう寝るんだっけ?」
「そ、そう……」
「ふーん?」
電話がくるなら送らなければ良かった。
もしかしたら今より素直に会話が出来たかもしれない。
何が必殺技なの。
私の馬鹿!!
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