先輩がどんな人なのか調べるうちに、気付いた。

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先輩といると、僕の存在はいつも振り回される側だ。それが別段、嫌だとは言えない自分を自分で認識しているのが、憎い。 先輩に手を引かれれ、第二図書室の奥へ進んでいく。 図書室とは名ばかりで、ここには本こそたくさんあるが本棚はない。そしてここにある本は全て、廃棄されるのをただ待っている所謂ゴミ同然のものばかり。 ダンボール箱に詰め込まれたもの。直に床に積まれたもの。乱雑に扱われたのか、本の形を成しておらず、ページの一枚二枚が床にへばりついているものもある。 そんな本の屍たちの間を、すいすいと、まるで人でごった返す交差点を誰ともぶつからずに前へ進むように、先輩は歩いていく。 前にここに来た時もそうだった。暗闇の中、先輩はすべてお見通しと言わんばかりに、僕を第二図書室の最奥部へ誘った。 今回もそう。これ以上進めない、その先に表れた第二図書室唯一の本棚の前。 暗闇に馴れた目が本棚を写し出す。 僕が入学して間もなく、この本棚に女子生徒の魂の脱け殻を隠したのは、僕だ。 今はその骸はなく、そこにはまた本が詰められていた。まるで本が主張するように。 ここは……"本の墓場"なのだと。
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