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ここまで来る途中、先輩はキョロキョロと辺りを見回していた。
絶対やっぱり先輩が怖いだなんて嘘だ。別に僕も怖い訳じゃないけど。だいたい、今までに何人もの人の命を奪ってきた僕が、オカルトや暗闇、怨念のようなものを怖がるなんて、今更なんだ。
僕の背後にはきっと、怨み辛み憎しみを溜め込んだ怨霊が張り付いているに違いない。
「ここまで、誰もいなかったわよね」
先輩が声量を押さえて囁く。僕は「そうですね」と頷きながら、本棚を見ていた。
「ここにあった"彼女"は、学校の裏の墓地に埋葬したわ」
「……先輩が?」
僕の視線の先が写すものを、はじめから知っていたかのように答えにして返してくる。僕はどうあっても先輩の上をいけない。
「まさか。この非力な腕では穴を掘りきれないわ」
「え、土葬したんですか」
「学校で火を焚いてはいけないでしょう?」
そういう問題だろうか。いや、僕もだけど。
繋いでいた先輩の手が、わずかに僕の手を引いた瞬間。
僕のすぐそばで物音がした。それはさっき聞いたものと似ている。
「あら、本の塚が崩れたわ」
ばささ、と紙の束が滑る音。しかし、それだけじゃない。
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