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「三蔵、そろそろ水がなくなるよ。」
悟浄がルーム(台所など生活空間の部分。)から運転席に向かって言った。
「もうなくなるのか?はやいな。」
この時代、水はかなり貴重でそれを買うとかなりの高値になる。
「あとどんくらいタンクにあんだ?」
「たぶん15Lもない。」
三蔵達のキャンピングカーの後ろには大きなトレーラーが付いている。その中は三つのタンクが入っている。一つは新鮮な水を入れるタンク。一つは一度使った水を綺麗にするための浄水タンク。一つは浄水した水を入れるタンク。浄水した水は飲み水としてではなく、トイレや風呂などに使われる。
「近くに町があれば少し買って行くんだが、この辺に町なんてあったかな?」
「なあ、あれってオアシスじゃないか?」
悟浄が運転席に入ってきて指を指す。
「え?」
確かに進路を少しずれた場所に青いものが見える。
「蜃気楼じゃないのか?」
「ここから見て約五km、それで着かなかったら諦めればいいじゃん?」
「そうだな、駄目元で行ってみるか。」
三蔵はハンドルを動かし進路を変える。
「もしあったら儲けもんだな。」
「確かにね。」
車は水を目指して進んでいく。そして、
「おお、確かにオアシスだ。」
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