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高校二年生のときに、自分でピアスを開けた。
大した意味はなかった。
少しの憧れと、少しの反抗心。
無理に理由をつけてみれば、そうかもしれない。
でもそのときはただ、なんとなく、でしかなかった。
気付いた父が殴り掛かる勢いで叱った。
それを母が必死に止めるのを、私はぼんやりと眺めていた。
母はその年の私の誕生日に小さな包みをくれた。
普段行かないようなデパートの包装紙を破ると、小さく揺れる二対の光。
いつもしている物とは全く違う上品なデザインが、何故か自分を責めているようで。
「こんなの全然似合わないからいらない!」
叩きつけるように突き返した。
そのときの母の表情を、私は忘れることはない。
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