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だが、次の瞬間――、
ピピピピピッ。
鳴り響いた電子音に、セルゲイは文字通り飛び上がりそうなくらい驚いた。
目覚ましに使うような、甲高いアラート音。
緊迫し、静まり返った緊張感の中で、いきなり轟いたアラーム音に、囲んでいた兵士たちの間にも、ハッとした動揺が走る。
思わず、銃の引き金を引いてしまいそうなくらいの衝撃だ。
何事かと目を見張れば、
「……失礼」
龍一はすました顔で言って、懐に手をいれる。
そこから出てくるのは、もしかして銃火器?
すわ銃撃戦の始まりかと、カチャリと銃口が一斉にこちらを向いた気がした。
けして気のせいではない。
そんな中、龍一が胸ポケットから取り出して来たのは、
―― 一台のスマートホン。
どうやらメールが着信したらしく、龍一は涼やかな眼差しで液晶の画面を眺めている。
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