第1章

12/25
前へ
/25ページ
次へ
ふと私の足元に気配を感じて見やる。私の足に子供が絡みついていた。 その子供は上半身が地面から生えていて下半身が見えない。 「親方様」 「……その呼び方はやめてくれないかな。ってみんなに言ってると思うんですけどね」 「僕たちにとっては親方様は親方様だもん」 ぬっと地面から出てきた子供は私の横に座る。もちろん、人間ではない。正確には生者ではない。俗にいう幽霊というやつだった。 私は子供のころからなぜか、妖怪や幽霊というものが見えた。それを不思議に思ったことはない。 見えるものは見えるのだ。不思議も何もない。私にはそれが普通だった。 それがほかの人に見えないと気がついたのは割と早いころだったと思う。 お母さんに誰もいないところで一人で話しているところをよく見られていて誰と話しているの? と聞かれていたからだ。 ああ、お母さんにはこの子たちが見えていないんだと思ったことを覚えている。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加