第1章

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お母さんに私には幽霊が見えるみたいと相談したこともある。 お母さんは幽霊が見えることを信じてくれたし、幽霊や妖怪たちと遊ぶことを別に咎めたりはしなかった。 ただ、私が小学生にあがる少し前の事。その幽霊がらみで事件があった。私はそれで大怪我を負った。命に別状はなかったものの、多少の後遺症が残ることになってしまった。 それから、お母さんは私に幽霊や妖怪たちと遊ぶことを禁止した。話しかけれれても無視するように徹底させた。 母親としてはごく当然の行動だったのだろうと思う。 でもそれは、私にはとっては逆に辛いことだった。 いくら、私が無視しようと幽霊たちは私に話しかけてくるのだ。害を加えてくる者はほとんどいなかったけれど話しかけてくる幽霊や妖怪は多い。 基本的に彼らは寂しがりやなのだ。妖怪も幽霊もその存在は信じられていない。でも彼らは確かに存在する。存在する以上誰かに認識してもらいたい。認識してもらわなければ彼らは存在していないも同じだからだ。 だから、彼らは自分の存在をアピールする。とはいえ、自分の存在を明らかにするようなことはない。それはそれで妖怪や幽霊という存在がブレてしまうからだ。彼らは居そうで居ない。実在しないようで実在する。 そういう存在なのだ。だから、幽霊や妖怪が見える人たちには彼らは積極的に話しかけてくる。自分の存在が見える人間。その人たちに自分の存在をアピールしてくる。
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