第1章

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お父さんに向かって怒ったのはあれが最初で最後だった気がする。 図星で気にしていることを言われたから、そしてお父さんにそれを指摘されたのが恥ずかしくて、悔しくて怒ったのだと思う。 自分でも何を言ったかははっきりは覚えていないけれどかなりひどいことを言ったと思う。 私が言ったことで覚えている言葉は一つだけだ。 「幽霊や妖怪が見える女なんて誰も友達になってくれませよ!」 「幽霊や妖怪と友達になればいいんじゃないですか?」 お父さんはあっさりと言った。 目から鱗が落ちた気分だった。それから私は幽霊や妖怪たちの話を聞き悩み相談を受けるようになった。時折、お願い事や困りごとの解決もするようになった。 結果的に幽霊たちに好かれて今では親方様と呼ばれるようになった。 幽霊たちとうまく付き合えるようになったことで人間関係の距離の取り方もうまくなった。結果的に人間の友達もできるようになったのだ。 「有馬さん亡くなったんですね。残念です」 子供の幽霊が言う。 「お前はお父さんを知っているんですか?」 「僕は子供ですけど幽霊なって長いですからね。何度か町で見かけたことがありますよ」 「そうですか」
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