第1章

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いつまでも椅子に座っていてもお母さんに心配されそうだったので控室に戻る。 部屋の中ではお母さんと高柳さんが座っていた。お父さんは孤児だったらしく親族という人たちがいない。お母さんのほうの親族は色々と面倒なことが多いらしく、高柳さんが控室には来ないように取り計らってくれているようだった。 ポットでお湯を沸かし、お茶を入れてそれぞれの前に置く。 「ありがとうございます」 高柳さんが頭を下げてお礼を言ってくる。 「すいません。何から何までお世話になって」 「大丈夫ですよ。私がやりたくてやっていることですから。それに有馬さんは私の友人でもありますからね」 その言葉を聞いて今日一番嗚咽しそうになる。思わず顔をそらして一度息を小さく吐いて吸った。 「ありがとうございます」 お母さんの座っている目の前に座るとお母さんがゆっくりと顔を上げた。
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