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一度あふれた涙は止まらなかった。
止めようと思っても止めることができなかった。
自分の事ながらなぜ、このタイミングなんだろうと思う。
でも、止まらなかった。肩が揺れてしゃっくりがでてしまう。
まわりに気づかれないようにしても無理だった。
背中にお母さんの手がそっと添えられる。
私はその手の温かさを感じながらただただ涙を流していた。
初七日が終わり私は駐車場の真ん中でぼーっと立っていた。吹き抜けるような青空を見つめている。
ベタだけどやっぱり晴れた日に送ってあげられてよかったなと思う。
「御屋形様」
声が聞こえてきたほうを振り返ると子供の幽霊が私の側に立っていた。
「ああ、貴方ですか」
「……大丈夫ですか?」
「……ええ。大丈夫です。心配してくれていたんですか?」
小さくうなずく。
「ありがとうございます」
子供の幽霊が小さく目を開く。
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