第1章

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私の家は少し面倒な家系だ。母方の実家が金持ちなせいでお母さんは実家によく呼び出されていたし、私もそれにふさわしい教育を受けろと言われその教育を受けさせられた。 お母さんはなるべく私を実家のもめ事に巻き込みたくなかったからいつも親戚から私を守ってくれていた。 だから、私はお母さんにわがままを言ったことがない。お母さんのことは尊敬しているし、大好きだ。 でも、だからこそ。お母さんには甘えられなかった。わがままを言えなかった。 私がお母さんの負担になりたくないと思っていたからだ。 お母さんにそんなことを言ったら私は怒られるだろう。 「子供に甘えられて嬉しくない母親なんているもんか」 きっと強気な笑顔を浮かべて言ってくれるだろう。そんなお母さんだから私は甘えられなかった。 むしろ、私の事を少しぐらい鬱陶しく思ってくれているようなお母さんなら私は素直になれたのかもしれない。 理屈の問題じゃなく。私の気持ちの問題だった。
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