第1章

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6畳のありふれた部屋。 勉強机に本棚、ベッドの脇には明るい日差しが差し込む出窓にカーテンが揺れている。 男は部屋を一瞥し考える。 今度こそ、今度こそ勝たねばならない。 これまで重ねてきた敗戦の歴史。それを糧にして勝利を掴まねば。 王道も奇策も、全て見破られてきた。 戦友との情報交換を重ね、幾つものアイデアを生み出し実行してきた。 それでも勝てない。相手は強大で、こちらの手の内を読みきっている。 しかし、彼に撤退の2文字はあり得ない。 絶対に勝たねばならない、引くに引けない戦い。 何度負けようとも、最後に勝てればそれでよい。 今まで、利用出来る物は全て利用してきた。この部屋にあるものは全てだ。 机も、ベッドも、本棚も。あらゆる場所を使ってみたが、尽く敗北している。 駄目だ。一人の知恵などたかがしれている。 ここは共闘する戦友と知恵を出し合わなければなるまい。 男はスマホをとり戦友へと連絡をとる。 あいつは勝てたであろうか。いや、期待はするまい。そう簡単に勝てるような相手ではないのだから。
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