第1章

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呼び出し音に続き、戦友の声が届く。 「よう、そっちはどうだった?」 「駄目だ、また完敗だ」 やはり戦友も敗北したようだ。 「カバーをかけても、表紙を変えても無駄だった。隠し場所ももうない。万策尽きたか………」 戦友の諦めた口調。奴は心が折れかけている。 「諦めたらだめだ!きっと、きっとどこかに道はあるはずだ!」 「そ、そうだな。諦める訳にはいかない!」 先人たちから綿々と続くこの戦い。きっと勝利をつかめるはずだ。 「かと言って、策は尽きたしなぁ」 「派手なからくりを作る資金も技術もない。どうするか………」 未成年の我らに自由となる戦力は少ない。 「いっそ、デジタル化して………」 「いや、それもパスワードを解析された戦友がいる」 戦友は日本全国に、いや、世界の各国に存在する。 そんな我々が勝てないのだ。 「一体、どうすれば………」 男は室内を見渡す。額に飾られた金閣寺のジグソーパズルが目にはいる。 「ジグソーパズルを使うか………」 「額の裏は失敗したはずだが?」 「いや、額の中だ」
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