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コンコン・・・
再び扉を叩く音。
「はーい。
ちょっと待ってね」
一応、客の前に出るのだから、多少は身なりを整えないとね。
玄関にある大きな姿見の鏡の前で髪をさっと直し、衣服の乱れをチェックして扉を開ける。
すると、そこには20代中頃の可愛らしい女の子が、思い詰めた表情で立っていた。
「あら、ずいぶん可愛い娘ね。
いらっしゃいませ。
さあ、どうぞ」
この店を訪れる客は、この娘に限らず、皆一様に思い詰めた顔をしているわ。
(まあ、それもそうよね)
皆、大切な何かを"なくしに"くるのだから。
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