なくし屋

依頼

｢あ・・ありがとうございます。
それでは、お邪魔します｣

一瞬、躊躇(ためら)うような素振りを見せたが、彼女はすぐに深々と頭を下げて、店の扉をくぐった。

｢いらっしゃい。
さあ、遠慮なくどうぞ｣

彼女を応接室まで案内(玄関直通だけど)して、ソファーに座るように促す。

｢紅茶を入れるから、少しソファーに座って、待っててね。
ウフフ。
そんなに緊張しなくても、いいわよ｣

カチカチに固まった、彼女の肩をポンと叩いて、ウィンクしてみせた。