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「もし、僕が女に生まれたら貴方と普通に結婚して子供ができる。そして普通の家族になって…。今よりももっと幸せになれるかな?」
時々恋人は微笑みながらもしもの話をする。
そんなもしもに俺は笑ってごまかすんだ。
もしも女に…。なんて考えたところで空しいじゃないか。
アパートのベランダに立つ。もう葉桜になった枝に名残を惜しむかのような花殻を見つけた。
恋人の母親から渡された手紙。
そこには、大好きな貴方へ。と書いてある。
そっと丁寧に封を切った。
その時、春の風が吹いた。
「……」
なんだか恋人に呼ばれたような気がした。
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