未来から来た恋人と息子

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『ああ…』 『……』 明夫は雅の愛撫に乱れ喘ぎ声を出す克巳の姿をじっと見つめた。 『克巳を抱きたいんだろ』 『俺は…』 『抱いてほしいと克巳が待ってるぞ』 雅は克巳の身体を抱き支え明夫にいやらしい身体を見せた。 『俺を抱いて』 『克巳…』 明夫は克巳に抱きつき雅と共に克巳の身体を可愛がった。 『ああ…』 克巳は明夫と雅の愛撫に乱れた。 それから暫くして克巳は気を失い眠った。 『克巳?』 『気を失ったみたいだな』 全裸のまま雅は克巳の身体を支え抱きかかえながら立ち上がるとソファーに運び仰向けで寝かせた。 そして雅はクローゼットから毛布を取りだし克巳の身体にかけた。 『克巳から聞いたんだが、未来から来たんだって』 雅はスーツとズボンに着替えながら言った。 『……』 『もしかして君といた彼も未来の人間か』 『克巳と美佳さんの子供です』 『子供…』 『美佳さんは22歳の時に蛍君を生みその後、亡くなります』 『美佳は知ってるのか』 『美佳さんは知らないけど、克巳は知ってます』 床に落ちている上服とズボンを拾うと明夫は着始めた。 『それを知らせるために未来から来たのか』 『俺達が来たのは子供を1人で育てる克巳に新しい恋人ができないようにするために来たんだ』 『それはお前が克巳の恋人だからか』 『そうだ、未来の俺と克巳は愛し合っていた…』 明夫は悲しげな顔になった。 『愛し合っていた?』 雅が問いかけると明夫は未来の克巳を口にした。 『未来の克巳はむりやり男達に乱暴されて自殺をするんだ』 『克巳がか』 『あぁ、それを阻止したくて…』 『未来の克巳は弱かったかもしれないけど、今の克巳は弱くない』 『あぁ…お前の言う通り今の克巳は…』 明夫が言いかけたその時、ドアのノック音がした。 『ちょっと待って』 雅はドアを開き廊下に出るとドアを閉めた。 『何かあったのか』 『お客様が社長を呼べと』 『わかった、すぐに行く』 雅は社長室の中に入った。 『何かあったのか』 『すぐ戻るから克巳のこと頼むな』 明夫に克巳を任せると雅は部屋を出てお客の元に行った。 明夫は克巳が目を覚ますまで向かい合ってソファーに座った。 『このままじゃ蛍君が生まれないかもな』 明夫は眠る克巳の顔を見つめながら口にした。
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