未来から来た恋人と息子

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『克巳、薬を買ってきたわよ』 美佳は克巳の身体を起こし薬を口に含ませると水を飲ませ寝かせた。 『タオルが温い…』 落ちたタオルを掴むと美佳は寝室を出て行った。 それから暫くして濡れタオルを持って寝室に戻ってきた美佳はタオルを克巳のおでこに置いた。 『薬を飲んだから熱が下がるといいんだけど』 美佳は壁に近づき座ると壁にもたれ克巳を見守った。 3分後、美佳は眠気に襲われ座ったまま眠った。 次の日の朝、克巳が目を覚ました。 『……』 おでこのタオルを掴み身体を起こした克巳は床に座って眠っている美佳に目を向けた。 『そんなところで寝ると風邪をひくぞ』 『…うう…ん…』 目を覚ました美佳は克巳に目を向け立ち上がるとベットに近づいた。 『俺、どうしてベットで寝てたんだろ』 『覚えてないの?』 『…うん…』 『熱で苦しんでる克巳を私がベットに運んだの』 『熱で苦しんだ?…覚えてないなぁ…』 『薬も飲ませたのよ』 美佳は克巳のおでこに手をあてた。 『……』 『熱は下がったみたいね』 克巳のおでこから手を離すと美佳は克巳の手からタオルを掴んだ。 『美佳』 『何?』 『結婚しよう』 『…お粥を作ってくるからゆっくり休んでて』 優しく微笑むと美佳は寝室を出て行った。 『……』 克巳は身体を倒し目を閉じると眠りについた。 その頃、美佳はキッチンでお粥を作りながら嬉し涙を流した。 『結婚してもいいんだよね』 美佳は出来上がったお粥を茶碗に盛るとおぼんに茶碗とスプーンをのせ寝室に運んだ。 『出来たわよ』 美佳はおぼんを机の上に置き克巳に目を向けた。 『……』 『寝てる…』 『明夫さん…』 眠ったまま克巳は明夫の名を口にし涙を流した。 『……』 美佳は寝室を出て行った。 それから暫くして目を覚ました克巳は身体を起こし机に目を向けた。 そして克巳はベットからおり机に近づくと『起こしてくれればいいのに、もう冷えてる』と言っておぼんを掴むとベットに座りスプーンでお粥を食べ始めた。 10分後、お粥を食べ終えた克巳はおぼんを持って寝室を出るとキッチンに行った。 『お粥、美味しかったよ』 茶碗とスプーンを流し台に置きながら言った。
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