未来から来た恋人と息子

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『美佳』 『……』 両手に荷物を持ったまま美佳は克巳に目を向け荷物を地面に置いた。 『仕事中じゃないの?』 『運ぶよ』 片手で荷物を2袋、持つと克巳は鍵を開けドアを開き先に入るとキッチンに行った。 美佳は克巳に近づいた。 『何かあったの?』 『……』 克巳は優しく美佳を抱き締めた。 『克巳?』 『死ぬなよ、美佳』 『克巳…私は死なない』 『……』 克巳は美佳の顔を見つめた。 美佳は克巳の頬に触れながら『仕事に戻って』と言った。 『今日は早めに帰るから』 『ご飯を作って待ってる』 『行ってきます』 『行ってらっしゃい』 克巳に微笑むと美佳はキッチンで離れていく克巳を見送った。 『ご飯を作るかな』 袋から野菜と魚を取り出すと料理を始めた。 『鯖は味噌煮に野菜はベーコンがあるからサラダにするか』 エプロンを着ると美佳は料理を作り始めた。 ーホストクラブの店ー 店に戻った克巳は社長室に行った。 『黙って出掛けていってすまなかった』 『相手は知ってたしいいよ』 『ありがとう』 『美佳のことか』 『…あぁ…』 克巳が答えると男性が入ってきた。 『お話し中すみません、克巳にご指名です』 『今、行きます』 克巳は男性と共に社長室を出ていった。 『3番のお客様です』 『わかりました』 克巳は3番の席に行った。 『お待たせしました、克巳です』 克巳は女性の隣に座った。 『……』 緊張をしている女性は克巳の顔が見れずうつ向いた。 『初めてですか?』 『友達の紹介で来ました』 『そうですか…お酒は何にしますか?』 『赤ワインが好きなので赤ワインを』 『かしこまりました』 克巳は立ち上がりその場を離れていった。 『……』 女性は鞄の中から手紙を取りだしドキドキしながら克巳を待った。 『お待たせしました』 赤ワイン1本とグラスを2個、持ってきた克巳はテーブルの上に置き女性の隣に座った。 『おつまみは後で来ますから』 克巳は赤ワインを2個のグラスに注ぎながら言った。 そして克巳はグラスを女性に持たせ自分もグラスを持つと『乾杯』と言って克巳と女性は赤ワインを一口飲んだ。 その後、女性はグラスをテーブルの上に置き心を落ち着かせると克巳に目を向けた。
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