未来から来た恋人と息子

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次の日、蛍は1人で総合病院に行き美佳がいる病室に向かった。 『……』 ドアの前で緊張を落ち着かせると蛍はノックをした。 『どうぞ』 美佳が返事をすると蛍は中に入りベットで身体を起こし本を読んでいる美佳に目を向けた。 美佳は本を閉じ蛍に目を向けた。 『どちら様でしょうか?』 『俺は…』 蛍はベットに近づいた。 その時、看護婦が入ってきた。 『美佳さん、具合はどうですか?』 『はい、大丈夫です』 『午後から身体の検査があります』 『わかりました』 美佳が返事をすると看護婦は病室を出ていった。 『立ったままだときついでしょ、椅子に座って』 『……』 蛍は椅子に座った。 『克巳の知り合いの方ですか?』 『俺は…克巳とあなたの息子です』 『……』 『突然、言われても驚きますよね』 『そうですね』 『証拠を見せます』 蛍は2枚の写真を差し出した。 美佳は2枚の写真を受け取り見た。 『克巳と私と…こっちは…』 『俺と明夫さんです』 『俺を産んで母さんは病気で亡くなりました…明夫さんは母さんが死んで悲しむ父さんの心を癒し俺を育ててくれました』 『だから?』 『知ってるんでしょ?父さんと明夫さんが惹かれあってることを』 『えぇ…』 『お願いします、父さんと明夫さんの仲を認めてください』 蛍は美佳に頭を下げた。 『私が病気で死ぬから克巳を明夫さんに渡せと』 『そういう意味じゃ』 『未来の克巳と愛し合えばいいじゃない、どうして現在の克巳と…』 『未来の父さんは自殺したんです』 『自殺?』 美佳は悲しげな顔をする蛍を見つめた。 『父さんは男に乱暴されて…それがショックで自殺しました、俺をここまで育ててくれたのは明夫さんなんです』 『……』 美佳は蛍を優しく抱き締めた。 『……』 『明夫さんは死んだ克巳のことが忘れられず未来から来たのね』 『明夫さん言ってました、現在の父さんが母さんと幸せに暮らしていればいいと』 『だけど実際に克巳と会って恋が再び起き身体の関係になった』 『ごめんなさい…母さん…』 蛍は涙を流した。 美佳は蛍から離れハンカチで蛍の涙を拭いた。 『泣かないで』 『……』 『名前、なんていうの?』 『蛍』 『蛍、いい名前ね』 『……』 美佳の微笑む姿に蛍は驚いた。
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