未来から来た恋人と息子

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『お待たせしました』 男性は赤ワインとグラス2個をテーブルの上に置きその場を離れていった。 明夫は赤ワインを開けグラス2個に注ぎ1個を由美に差し出した。 『ありがとう』 由美はグラスを受け取った。 その後、明夫と由美は『乾杯』と言って赤ワインを飲んだ。 『緊張してるの?』 『ホストなんか初めてだから…』 『今までは何の仕事をしてたの?』 『営業の仕事をしてました』 『それがなぜホストに?』 由美は赤ワインを飲んだ。 『……』 『言いにくいならいいけど』 酔ってきた由美はグラスをテーブルの上に置き明夫に寄り添った。 『どうしたんですか?』 『明夫さんって恋人いるの?』 『…恋人は…』 『左手の薬指に指輪をしてるから妻がいるのよね…』 由美は明夫の膝に頭を置き目を閉じた。 『お客様?』 『……』 『眠ってる…』 明夫がどうしていいかわからずにいると克巳と由香が近づいてきた。 『由美、帰るわよ』 『寝てるみたいです』 『しょうがないわね、克巳さん、タクシーを呼んでいただけますか?』 『わかりました』 克巳はその場を離れ店の電話でタクシーを呼んだ。 そして克巳は由香に近づき『20分くらいで来るそうです』と言った。 『ありがとうございます』 『外でタクシーを待ってるね』 『すみません』 『……』 克巳はその場を離れ店を出た。 『座ってください』 明夫が言うと由香は向かい合ってソファーに座った。 『きつくないですか?』 『大丈夫です』 『妹が自分から明夫さんを指名をするなんて初めてなんです』 『妹?』 『私達、姉妹なんです』 『仲がいいんですね』 『仲がよすぎて友達に気持ち悪がられました…』 『俺は気持ち悪いなんて思わないけどな』 明夫の言葉に由香は驚いた。 その時、克巳が現れ『タクシーが来ましたよ』と言った。 由香は由美の身体を起こし『起きなさい、帰るわよ』と言った。 『うう…ん…』 『俺がタクシーまで運びます』 明夫は由美を抱きかかえ由香と共にタクシーに向かった。 そして明夫は由美を後部座席に乗せ由香に目を向けた。 『ありがとうございました』 『支払いは今度、来たときに払います』 『わかりました』 『それじゃあ…』 明夫の唇にキスをすると由香は後部座席に乗り込みタクシーはその場を離れていった。
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