未来から来た恋人と息子

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それから暫くして落ち着いた克巳は明夫から離れながら『ありがとう』と言って少し微笑んだ。 『もう大丈夫か?』 『うん…声を出しながら泣いたから落ち着いた』 『そうか』 明夫は克巳の頬に手を伸ばし触れた。 『…晃さん、遅いなぁ…』 明夫に触れられドキドキした克巳は椅子から立ち上がった。 『電話をかけてくると言ってたからな』 『まだ話してるのかもな』 『克巳…』 明夫が言いかけたその時、ドアが開き晃が現れた。 『先生は?』 『まだです』 『雅に電話をしてたんだろ』 克巳が口を開いた。 『仕事は暫く休んでいいから、お前達の側にいてやれって』 晃は椅子に座った。 『雅がそんなことを…』 克巳が言ったその時、吉野先生が入ってきた。 『お待たせしました』 吉野先生は向かい合って椅子に座った。 克巳も椅子に座り吉野先生に目を向けた。 『篠原美佳さんの突然死の原因は心臓発作が原因かと思われます』 『心臓発作…』 『見抜けないで申し訳ありません』 吉野先生は克巳達に頭を下げた。 『突然起きたことですから、先生のせいじゃありません』 克巳が言うと吉野先生は顔をあげた。 『美佳さんは?』 明夫が問いかけた。 『篠原美佳さんは霊安室にいます』 『……』 『聞きたいことはありませんか』 吉野先生は克巳と明夫と晃を交互に見た。 『…ありません…』 『あとは看護婦達がしますので』 『わかりました』 『それじゃあ失礼します』 吉野先生は椅子から立ち上がり待合室を出ていった。 『霊安室に行こうか』 『そうですね…克巳…』 『……』 克巳と明夫と晃は椅子から立ち上がり待合室を出ると霊安室に向かった。 それから暫くして霊安室についた克巳と明夫と晃はドアを開き中に入るとドアを閉めた。 『……』 克巳は美佳に近づき線香を立てると両手を合わせ目を閉じ参った。 その後、克巳は目を開け美佳の死に顔を見つめた。 『…美佳…』 『2人きりにしてあげよう』 『そうですね』 晃と明夫は霊安室を出て行った。 克巳は美佳の頬に触れながら涙を流した。 そして克巳は美佳の唇に別れの口づけを交わし顔を見つめた。 『…明夫と晃さん、どこに行ったんだ』 克巳が椅子に座った。 その時、男性2人と明夫と晃が入ってきた。
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