未来から来た恋人と息子

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克巳と明夫はドアに近づいた。 『鍵は?』 『持ってて』 克巳は遺骨を明夫に渡しポストの中から鍵を取り出すとドアを開けた。 そして克巳はドアを開き明夫を中に入れると続けて中に入りドアを閉めた。 『遺骨はどこに置けばいいんだ』 『こっちに』 克巳は遺骨を持った明夫をリビングに連れていった。 ーリビングー 克巳は奥に机を置きその上に美佳の写真を立て遺骨を置いた。 そして克巳と明夫は線香を立て参った。 『この家は俺達が住もう』 『美佳さんがいなくなっちゃったもんな』 『息子もな』 『克巳』 明夫は背後から座っている克巳を抱き締めた。 『悲しんでるだろうな』 『明日、蛍君をここに連れてくるよ』 『……』 『克巳…』 明夫は克巳の首筋に口づけをした。 克巳は抵抗し『ゴメン、そんな気分になれないんだ』と言った。 『そうだよな、ゴメン』 『疲れたから先に寝るね』 立ち上がりリビングを出ると克巳は寝室に行き衣服のままベットに倒れ眠りについた。 明夫は黙って家を出て廃墟ビルに向かった。 ー廃墟ビルー 明夫はビルの中に入り声を出した。 『蛍君、いるんだろ』 『明夫さん』 奥から蛍が現れた。 『蛍君、克巳の側にいてあげてくれないか』 『どうして?』『俺が側にいても克巳は悲しんでる、蛍君じゃなきゃ克巳の悲しみは癒せない』 『父さんは今どこに?』 『家にいる』 『わかった、父さんに会う』 『俺はここにいるから』 『……』 『頼む、克巳の心を癒してやってくれ』 『わかりました』 蛍は廃墟ビルを出ていき克巳がいる家に向かった。 その頃、克巳はベットで眠っていた。 『…うう…ん…』 目を覚ました克巳は身体を起こし隣を見た。 『まだ、明夫は起きてるのか』 ベッドからおり寝室を出た克巳はダイニングに行った。 『明夫…』 誰もいない部屋に克巳は不安を感じた。 『どこに行ったんだ…』 克巳が口にしたその時、玄関の方から音がした。 克巳は『明夫』と言って玄関に行き蛍と目があった。 『どうして蛍が…』 『父さんを癒してくれって明夫さんが』 『明夫はどこにいるんだ』 『廃墟ビルにいます』 蛍は靴を脱ぎダイニングに行った。 克巳もダイニングに行き蛍に美佳のことを口にした。
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