未来から来た恋人と息子

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そして眼鏡の男性は店の前で止まりドアを開き中に入ると近くにいたホストに声をかけた。 『すみません、面接に来たんですが』 『面接…お待ちください…』 ホストは晃に駆け寄った。 『晃さん、面接に来たって人が』 『面接?…明日、来るはずだが…わかった、仕事に戻れ』 晃は眼鏡をかけた男性に近づいた。 『面接は明日のはずですが』 『すみません、用事ができたので今日、来ました…いけなかったでしょうか?』 『いけなくはないんですが、一言、言ってほしかったですね』 『すみません』 『…それじゃあ面接をしましょうか、こちらへどうぞ』 晃は眼鏡をかけた男性を社長室に連れていった。 その頃、雅はソファーに座ったまま眠っていた。 社長室の前についた晃はドアをノックした。 その時、寝ていた雅が目を覚まし『どうぞ』と返事をした。 するとドアが開き晃と眼鏡をかけた男性が入ってきた。 雅は眼鏡をかけた男性に目を向け『晃、誰だ』と言った。 『明日、面接をする予定だったんですが、用事があるそうで今、面接をしてくれと』 『お願いします』 眼鏡をかけた男性は雅に頭を下げすぐに顔をあげた。 『今から面接をしますから座ってください』 『はい』 眼鏡の男性はソファーに近づき向かい合って座った。 『晃、履歴書を取ってくれないか』 『……』 晃は机に近づき履歴書を掴むと雅に近づき履歴書を差し出した。 雅は履歴書を受け取り履歴書を見ながら口を開いた。 『今まで仕事は…』 『したことありません』 『面接は今回が初めてですか?』 『はい』 『どうしてホストに?』 『ある男性に近づきたくて面接に来ました』 眼鏡をかけた男性はうつ向きながら言った。 『ある男性?』 『偶然、店の前で見かけて…一目惚れしました』 『それが理由で面接に来たのか』 雅が言ったその時、眼鏡をかけた男性はソファーから立ち上がり床に正座で座ると『一生懸命働きますから俺を雇ってください』と言って頭を下げた。 雅と晃は驚き雅が口を開いた。 『雇うから顔をあげてくれ』 『本当ですか』 眼鏡をかけた男性は顔をあげ立ち上がった。 『接客をするときは眼鏡をはずしてください』 『……』 『どうした?』 黙り込む男性に雅は問いかけた。
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