未来から来た恋人と息子

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『何だろうな』 克巳と明夫は控え室に行き衣服に着替えると社長室に行った。 『早く帰って休みたいから…何だ…』 克巳は向かい合ってソファーに座った。 明夫は立ったまま黙り込む晃に目を向けた。 それから暫くして雅が口を開いた。 『晃、森見真咲さんの写真を克巳と明夫さんに見せてやってくれ』 『明夫さん、克巳の隣に…』 『……』 明夫はソファーに近づき克巳の隣に座った。 そして晃は克巳達に近づき携帯を見せた。 克巳と明夫は森見真咲の顔に驚いた。 『雅…』 『驚くよな、俺だって驚いたさ』 『……』 明夫は言葉を失っていた。 『この写真、どうしたんだ』 『今日、面接に来たんだ、その時、晃が携帯で写したんだ』 『面接って、ここで働くのか』 『明日から出勤します』 晃が口を開いた。 『どうするんだよ、皆、驚くぞ』 『明夫さんには明日から眼鏡をかけて仕事をしてもらう』 『…わかりました…』 『明夫…』 元気のない明夫の姿を見て克巳は悲しげな顔になった。 『克巳…』 『話はそれだけか』 『あぁ』 『じゃあ、俺達は帰るな』 克巳は明夫の腕を掴みソファーから立ち上がると社長室を出て行った。 『雅』 晃は心配そうな顔をしている雅を背後から抱きついた。 『大丈夫かな、克巳…』 『好きだから気になるのか』 『……』 『否定しないんだな』 晃は雅から離れた。 『晃…』 ソファーから立ち上がった雅は背を向けている晃を見つめた。 『今日は友達の家に泊まるから』 『晃』 『お疲れさまでした』 『待てよ』 雅は晃に近づき腕を掴むと晃を振り向かせた。 『……』 『晃…』 雅は目から涙を流している晃に驚いた。 『…離してください…』 『嫌だ、離さない』 雅は晃を引き寄せ唇を重ねた。 『んん…』 『……』 唇を離した雅は晃を見つめた。 『今日はそんな気分になれないから、離してください』 『晃…俺は友達として克巳が好きなんだ』 『……』 『晃、俺は…』 雅が言いかけたその時、晃が唇を重ねた。 その後、雅と晃は衣服を脱ぎ全裸になると身体を重ねた。 その頃、克巳と明夫は無言のまま道を歩いていた。 それから暫くして克巳は立ち止まり先を歩く明夫に『明夫』と声をかけ足を止めた。 明夫は振り返り克巳を見た。
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