未来から来た恋人と息子

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『克巳?』 『……』 『気を失ったのか』 明夫は眠る克巳の顔を見つめながら頬に触れた。 『うう…ん…』 克巳は眠ったまま身体を動かし背を向けた。 『お休み、克巳』 克巳の頬にキスをすると明夫はベットからおり衣服を脱ぐと全裸のまま浴室に行きシャワーを浴び始めた。 それから暫くして目を覚ました克巳はゆっくりと身体を起こしまわりを見渡した。 『…そうか…俺…』 『目が覚めたか』 『……』 克巳は近づいてくるバスローブ姿の明夫を見つめた。 『克巳』 明夫は克巳の頬に触れようと手を伸ばすとその手を克巳は払い除け睨んだ。 『俺とセックスをしたこと後悔してるのか』 『当たり前だろ、男同士で…』 『未来の克巳は可愛いげがあるのに、今のお前は可愛いげがないな』 明夫はベットを離れソファーに座った。 克巳はベットからおり床に落ちているスーツとズボンに着替え始めた。 そして克巳はソファーに近づき明夫の頬を叩いた。 『未来の俺はあんたと愛し合ってるかもしれないけど、今の俺は美佳を愛してる…もう、俺の前に現れるな』 怒った口調で言うと克巳は部屋を出ていった。 『この事を知ったら蛍君、怒るだろうな』 明夫はニコリと笑った。 その頃、蛍は廃墟ビルの中で明夫の帰りを待っていた。 『明夫さん、どこに行ったんだろ』 外で待とうと歩き始めた蛍はふらつ足を止めると壁に手をあてた。 それから暫くして蛍はしゃがみこみ壁にもたれた。 『……』 『蛍君、遅くなってすまない』 ホテルから戻ってきた明夫は蛍に近づいた。 『どうかしたのか?』 『さっき目眩がして…』 『大丈夫か、病院に行くか』 『休めばいいから』 『ここじゃ休めないよな、部屋を借りるか』 『お金は?』 『持ってきてるから大丈夫』 明夫は蛍の身体を支えながら立たせると廃墟ビルを出ていった。 『大丈夫か?』 『はい』 『近くにあればいいんだけど』 明夫と蛍は歩き始め廃墟ビルを離れると宿泊ホテルを探した。 45分後、宿泊ホテルを見つけた明夫と蛍は中に入り受け付けに行った。 『予約とかしてないんですが、泊まれるでしょうか』 『2名様』 『はい』 『お待ちください』 受付の女性は空いている部屋を調べ始めた。
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