未来から来た恋人と息子

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その後、美佳は克巳の側で眠りについた。 克巳は美佳を起こさないようにベットからおり寝室を出ると浴室に行った。 そして克巳はシャワーを浴び始めた。 『……』 5分後、バスタオルを腰に巻き浴室を出た克巳はダイニングに行きソファーに座った。 『はあ…』 克巳がため息をついたその時、インターホンが鳴った。 『こんな時間に誰だ』 ソファーから立ち上がり玄関に行った克巳はドアを開き人物に驚いた。 『何でここに』 『蛍君が消えたんだ』 『俺に言われても』 『俺と来てくれないか』 明夫は克巳の手首を掴んだ。 『何であなたと行かなくちゃいけないんですか』 克巳は明夫の手を振り払った。 『克巳』 『俺の前に現れるなと言っただろ』 『克巳…』 『今度、俺の前に現れたら警察を呼ぶからな』 克巳はドアを閉めた。 『克巳、誰だったの?』 衣服姿の美佳が玄関に現れた。 『間違いだ』 克巳は玄関を離れダイニングに行った。 美佳はドアを開き外に出ると歩いていく明夫に声をかけ駆け寄った。 『待ってください』 『……』 立ち止まると明夫は振り返った。 『克巳に用があってきたのに、克巳が追い返したみたいですみません』 美佳は明夫に頭をさげ顔を見つめた。 『夜遅くにすみませんでした…それと結婚、おめでとうございます』 美佳に背を向けると明夫は歩き始めた。 『……』 美佳は家に戻り中に入っていった。 そして美佳はダイニングに行きソファーに座ってうつ向いている克巳に声をかけた。 『どうして間違いなんて言ったの』 『……』 『さっき謝ってきたから』 『あいつに会ったのか』 うつ向きながら克巳が言った。 『あいつって、友達じゃないの?』 『友達なんかじゃない』 『……』 怒鳴りながらソファーから立ち上がる克巳に美佳は驚き言葉を失った。 『ごめん…』 克巳はダイニングを離れ玄関に行くと外に出ていった。 『……』 美佳は寝室に行き机の上に置いている携帯を掴むと克巳が働くホストクラブの社長に電話をかけた。 3回目のコールで相手が出ると美佳が口を開いた。 『雅、夜遅くにごめんね』 『何かあったのか』 『克巳のことで聞きたいことがあって…』 『克巳のこと?何だ』 『…あのね…』 言いかけた美佳は黙り込んだ。
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