未来から来た恋人と息子

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『克巳はいるのか』 『どこかに出掛けていった』 『わかった、電話じゃ話せないから今から行くよ』 『……』 相手が電話を切ると美佳は携帯を切り持ったままベットに仰向けで倒れた。 それから30分後、インターホンが鳴った。 美佳は身体を起こし携帯をベットに置くと寝室を出て玄関に行った。 そして美佳はドアを開き雅を中に入れた。 『寝てたのにごめんね』 『克巳と喧嘩でもしたのか』 靴を脱ぎあがると雅は美佳と共にダイニングに行った。 美佳と雅は少し間を開けてソファーに座った。 『内緒で携帯に写したんだけど見てくれる』 『あぁ』 『携帯を持ってくるから待ってて』 美佳はソファーから立ち上がりダイニングを離れると寝室に行き携帯を掴むとダイニングに向かった。 『雅の店にこの人いる?』 美佳は携帯に写っている克巳の写真を雅に見せた。 雅は写真を見ながら『克巳に会いに来た奴じゃないか』と言った。 『その時に何かあったのかな』 『そういえば店でも機嫌が悪かったな』 『……』 美佳は雅の側に座り悲しげな顔でうつ向いた。 『こんな気持ちで結婚式を挙げていいのかな』 『浮気をしてる訳じゃないんだから心配するなよ』 『そうだよね、雅の言う通り浮気をしてる訳じゃないんだもんね』 『不安はなくなったか』 『うん、ありがとう』 『じゃあ、俺は帰るから』 ソファーから立ち上がると雅は美佳と共に玄関に行った。 そして雅は靴をはき美佳に目を向けると『克巳のこと信じてやれよ』と言って雅はドアを開き出ていった。 美佳はドアを閉め玄関を離れると寝室に行った。 雅は歩きながら『家に帰るより店に行った方がいいな』と言って雅は店の方に向かった。 その頃、克巳は店の前で座り込んでいた。 『……』 『克巳』 雅は店の前で座り込んでいる克巳に声をかけ近づいた。 克巳は雅に目を向け『雅…』と言って立ち上がった。 『鍵を持っているのに何で中に入らないんだ』 入り口の鍵を開けながら雅が言った。 『……』 克巳は雅と共に店の中に入りドアを閉めた。 『今日は休みだし酒でも飲むか』 『いいのか』 『俺がいいと言ってるんだ』 『じゃあ、赤ワインを一杯だけもらおうか』 克巳は椅子に座った。
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