ヨコハマデート

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私も二宮を意識していた。 その相手が、まっすぐな目で私を見て告白してくれた。 私は本当に嬉しくて 「うん。ありがと。私も、二宮が好きだよ」 と答えた。 それを聞いた二宮はよっしゃ、と小さくガッツポーズをして嬉しそうに笑ってくれた。 それから同期の仲間以上の関係となり、デートを重ねた。 けれど、付き合い始めてから私はどこかしっくりこない様な気持ちで二宮と数カ月を過ごした。 二宮は優しいし、一緒にいると楽しい。 けれど、何か物足りない。 お互い、言いたいことを言い合う。 会話をしなくても、苦にならない。 傍から見たら理想的な二人だったのだろうけど、私の中ではどこか友達という感覚が抜けなかった。 二宮といても、ドキドキする事が少ない。 まだ若かった私は、恋愛に対して壮大な憧れを勝手に抱いていた。 彼氏には引っ張ってもらいたいし、少し強引な位の人が良い。 いま思えば、笑ってしまう。そんな勝手な憧れと現実を比較して、いつしか二宮がそうではないと決めてかかって、やっぱり元の同期の仲間としての関係性に戻りたいと私は二宮に別れを告げたのだ。 二宮ほど、私を理解して優しい人はいないのに。 そして私が一方的に別れを切り出すと、 「いつかまた誰かを好きになれるまで、優花のこと、思ってていいかな」 と二宮は私に言った。 今までに見たこともない、悲しそうな顔で。 私はその言葉を聞いて、何も言えずにただうつむくしかなかった。 自分がしたことが、どれだけ身勝手で、どうしてちゃんと向き合おうとしなかったのだろうと少し後悔した。 当時、二宮をひどく傷つけたと思う。 私たちが付き合っていたことを知る数少ない同期から、しばらく二宮が落ち込んでいると聞いたときは申し訳ない気持ちになって私から連絡を取ることはしなくなったし、同期会と称した飲み会に二宮が参加すると聞けば、おのずと私は遠慮する、というパターンが増えた。 私たちは所属の部署が違い、別々のビルの中にあるフロアにいたので日常的に顔を合わせることもないまま日々が過ぎた。
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