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私も切り替えて前に進まなくちゃ。
そうやって思う日もあれば、二宮がそばにいてくれたら良いのに。と思う日もある。
日々、私の気持ちは揺らいだままだ。
だけど、一方ではいつかダメでも気持ちを打ち明けよう。なんて考えたりもする。
本当に私は身勝手な女だとつくづく思う。
「間もなく横浜に到着します」
車内アナウンスが聞こえ、私は我に返った。
私はホームへ入る電車の窓から、横浜駅前のビルの合間に広がる青空を見上げた。
横浜駅に着いた私は、遅れると言う二宮が来るまで地下街をブラブラと歩いた。
ショップのディスプレイを眺め、時折お店に入って商品を手に取ってみる。
新しいブラウスが欲しくなったけど、これから二宮と会うのに買い物した袋を提げていくのは気が引けたのでやめておいた。
しばらくお店を冷かしていると、スマホのバイブが振動したことに気づく。
画面を見ると、
『着いたよ。今どこ?』
と二宮からのメッセージが表示されていた。
『地下でブラブラしてた。京急線の改札まで行くね』
私がそう返すと、すぐに
『オッケー』
と返事が来る。
私はさっき来た通路を戻り、京急線の改札へ向かうと人でごった返す中から二宮を見つけた。
私が近づくと、
「申し訳ありませんでした」とおどけたように頭を下げる。
横を通った小さな男の子が不思議そうな顔で見ていたので、私は何だか気まずくなって
「ちょっと、やめてよ」と軽く肘で二宮をつついた。
すると、二宮はへへっと笑ってから
「美術館行く前に、どっか行きたいとこは?」と聞く。
私は少し考えて、ひとまず昼ご飯を食べに行こうと提案した。
「いいよ。とりあえず、みなとみらい方面にでも行ってみる?」
「うん、そうしよう」私たちは肩を並べて歩きだす。
横浜駅を抜け、みなとみらい大橋の方へ向かうと風が気持ち良かった。休日のこの辺りはカップルや家族連れで賑わっている。
少し歩いた先に、商業施設が見えた。私はそこへ行ってみようと、建物を指さしながら二宮に言った。
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