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私たちは少し早めに昼食を取った後、美術館へ向かった。
展覧会は人気があるらしく、チケットを買うまでに少し行列ができていたけど話しながら並んでいるとあっという間だった。
館内へ入り、目的のフロアを目指す。
中では私が気に入った絵も飾ってあったし、オブジェもあってすっかり世界観に魅了されてしまった。少し興奮気味になって私が二宮にあれこれ話すと、二宮は笑いながら
「そんなに気に入ったの?じゃあミュージアムショップも覗いていく?」
と言ったので、私は即答した。
今回の展覧会限定のグッズもあり、私は何を買おうか迷った末ににキーホルダーを選んだ。
ふと、隣にいた二宮を見ると同じキーホルダーを手にしている。
「え、お揃いにするの?」
わざと私が不満そうに聞くと
「なんだよ、色が違うんだからいいじゃん」
と、色違いの物を選んだので私は少しがっかりした。色も同じので良かったのに。
どうして余計な事を言ってしまうんだろう。
そんな事を考えながらレジに並ぶと、二宮は私が手に持っていたキーホルダーを
「俺が買うよ」と言いながら受け取るしぐさをした。
「買ってくれるの?」
「遅刻した、お詫びです」
そう言いながら会計をしてくれた。
私にとって、きっとこのキーホルダーはとても大切な物になる。そう思うとすごく嬉しかった。
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