【試し読み】ほしのたねvol.3

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めがねじゃなきゃ、だめ。ウェリントン。銀縁。黒縁。いろいろあるけど、どれでもいいから、めがねじゃなきゃ、だめなの。めがね屋さんじゃ、だめ。めがね女子でも、だめ。  あたしはメガネ男子しか好きになれない。 いつからなんだろう。あたしは放課後の窓辺の席で、ひらり、と雪が舞うのを、見ていた。  まず、初恋。「初恋」なんて書くとちょっぴり恥ずかしいけどさ。あたしはまだメガネを掛けてなかった。あたしの髪はママが毎日梳いてくれたおかげでさらっさら。 「ゆかちゃん、お姫さまごっこしようよ」 そう言って誘ってくれたのはみいちゃん。あたしは絵本コーナーの隅でひっそり本を読んでいて、最初誘われた時はびっくりした。 「あたしも……いいの?」 あたしはおそるおそる聞いた。だって今まで、「お姫さまごっこ」なんてしたことなかったから。あたしはそのときドキドキしていたんだと思う。 「うん、いいよ」 みいちゃんはにっこり笑って答えた。えくぼに、白い歯並びの良い歯がのぞく。
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