叶わない我儘

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*** 自宅に帰り、玄関で靴を脱いだところで、スマホが震えた。 『会いたいって……どうかした?』 ミヤサカからの短かすぎるメッセージ。 それを見たと同時に、瑞希の目が熱くなった。 「どうかしたって……。 どうかしたわよ、バカ……」 狭い廊下のフローリングに、堪えていた涙が零れ落ちる。 瑞希は壁によりかかり、ゆっくり指を動かした。 『明日お時間頂けませんか。少しの時間でもいいですから』 送ったメッセージが既読になった。けれどしばらく待っていても返事は来ない。 たぶん予定の調整が難しいのだろう。 彼が忙しいのは百も承知だ。 だけどLINEや顔の見えない電話じゃ気が済まない。 本当は今すぐにでもぶちまけたいのを抑えて、瑞希は彼の返事を待った。
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