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自宅に帰り、玄関で靴を脱いだところで、スマホが震えた。
『会いたいって……どうかした?』
ミヤサカからの短かすぎるメッセージ。
それを見たと同時に、瑞希の目が熱くなった。
「どうかしたって……。
どうかしたわよ、バカ……」
狭い廊下のフローリングに、堪えていた涙が零れ落ちる。
瑞希は壁によりかかり、ゆっくり指を動かした。
『明日お時間頂けませんか。少しの時間でもいいですから』
送ったメッセージが既読になった。けれどしばらく待っていても返事は来ない。
たぶん予定の調整が難しいのだろう。
彼が忙しいのは百も承知だ。
だけどLINEや顔の見えない電話じゃ気が済まない。
本当は今すぐにでもぶちまけたいのを抑えて、瑞希は彼の返事を待った。
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