叶わない我儘

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液晶の明かりが消えると、瑞希はため息をついて部屋にあがった。それと同時にスマホが震えた。 『わかった。明日なるべく早く仕事を終わらせて連絡するよ』 瑞希は目尻の端をぬぐい、『ありがとうございます』と文字を打ち込んだ。 会いたかったけど、いざミヤサカを前にすると思うと心中は複雑だった。 あまり飲んでないのに足元がふらつく。 よろめきながらリビングのドアをあけた時、彼から返信があった。 『大丈夫?』 その時、彼の声が頭の中に響いた。 きっとミヤサカのことだ。 なにかあったのかと、画面の向こうで心配そうな顔をしているんだろう。 「大丈夫なわけがないじゃない……」 せっかく拭った涙が、目の奥からあふれ出てきた。 辻にも健吾にも言いたいことを言われ、打ちのめされて、昨日は一睡もできていないし、今日だってきっと眠れない。 その元凶はミヤサカだっていうのに、彼を嫌いにはなれない。
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