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まっすぐな瞳に見つめられ、瑞希は息を止めた。
(本当、なによ……)
大丈夫なわけないのに、彼は本当になにもわかっていない。
心あたりすらないといった様子に、悲しいやら苦しいやらで涙腺が緩みそうになる。
なのにミヤサカはそんな瑞希の気も知らず、心から心配そうだからたちが悪い。
「……なんでそう思うんですか?」
瑞希はグラスを掴むふりをして目を逸らした。
「なんでって……そりゃいつもと違うからどうしたのかって思うよ。
もしかして、飯田さんになにか言われた?」
「……え?」
瑞希は目を瞬かせた。
どうして和明の名が出てくるのかわからない。
「違いますよ、なんで彼の名前が出てくるんですか」
思わずミヤサカに視線を戻す。
彼は注文をとりにきた店員にビールを頼むと、ばつが悪そうに瑞希を見返した。
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