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「…知らない天井だ」
僕は今地面に寝そべって、知らない天井…というより、石でもなければ木製の天井でもない、ただただ真っ白な天井…いや、空?を見上げていた。
「たしか、おじさんに頭を踏まれて…」
頭を踏まれて気絶したはずの海優だが、不思議と頭を踏まれていた痛みがない。むしろ、すっきりしたような気さえする。
「よっと…あれ?なにもない…?」
体を起こした海優だが、力が入りにくいことも忘れ、足を振った反動で起き上がる。
「…ここどこ?って最近ずっと言ってるなぁ」
「おはよう、空野海優君。」
「え…え!え!?」
今度は、おじさんではない人が立っていた。声は女の子。だが、不思議に思うところがふたつ。ひとつは、背中から6枚の翼が生えてることだった。
「驚くのも無理はないよね…ごめんね、空野海優君…」
俯く、翼の。だけど、僕にはそんなことよりも、ある1点のことだけが気になっていた。
「うん?どうしたんだい?」
「いや…すみません、失礼ながら…貴方は誰ですか?」
「私は…その、」
「神様だよ、海優くん。」
「また増えた!?」
神様?が、口をもにょもにょさせながら、何かを迷っていると、今度は2枚の翼を持った男性が不意に現れた。
「また増えた…驚かせてごめんね、海優くん。俺は天使のセラフィム。よろしく」
「よろしくお願いします…?」
僕はなにがなんだか混乱していたが、セラフィムさんに手を出してきたから、とりあえず握手をした。
「んで、このちっちゃい幼女チックなのが神様。」
「神様にちっちゃい言うなぁ!まだ生まれたばかりなだけだもん!成長するもん!」
「知るかチビ神。神としての自覚があるなら、言動に気をつけろ。あと、自分で呼んだんだから、早く海優くんに説明してあげろよ」
セラフィムさんは、神様の頭に手をおいて、ずっと僕の気になっていた…神様が小学生低学年程の背丈のことで弄り、満足げに撫でていた。そして僕のなかでの疑問は、なんでこんなところに子供が?といった疑問から、神様が幼女!?という疑問に変わった。
「あ、呼び捨てでいいですよ、セラフィムさん」
「なら、俺もセラって呼んでくれ。あとタメ口。なんかかしこまった感じがして嫌なんだよ…」
「わかりまし…わかったよ、セラ」
「おう、よろしくな海優。」
セラは気さくな人みたいで、僕にとってはとてもいい人に見えた。
「どうでもいいけど、私のことを無視するなぁー!」
…忘れてました、神様。
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