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目元を赤く腫らせた神様は、セラにケーキを出されるまで泣き続け、最終的には喜んでいた。見た目通りの子供のような笑顔で。
「海優君をここに呼んだのは…ごめんなさい。私の個人的な事情で、転生…というより、憑依させてしまったからです。」
「個人的な事情…?転生?憑依??」
自分が、異世界にやってきたことを知らなかった海優は、既にさっきのおじさんは走馬灯のなかの人で、ここは死後の世界…だと考えていたみたいで、どうやら考えが外れて混乱しているようだった。
「えっとな、神の言葉が足りないからもう少し詳しく言うとだな?海優がさっきからおじさんと呼んでいる人は、憑依した後のお父さんなんだ。でもお前はあのおっさんからすると、ただの奴隷なんだ。」
「…ちょっとまって…ってことは、つまり…僕は奴隷に憑依したってこと!?なんで?」
「それは…そのぅ…」
「ここからは、俺と神の勝手な個人の感情なんだが…お前が憑依する前の元の人間は、奴隷として虐げられたんだ。んでその元の人間は、お前が憑依する数秒前に死んだ。正確には魂を抜き取って、海優の元の体に入れた。だから、一応は向こうのお前は生きている。」
「僕のいまの現状はとりあえずわかったよ。でも、なんで僕なの?」
そこまで話を静かに聞いていた海優は、あまりの身勝手さに憤慨した。そして、口調をすこし歪ませる程度にすることに成功した海優は、新たな質問を投げかけた。
「いやな、元の人間の方は、海優ほど心も強くなくて、むしろ幼かったんだ。物心つくより前に奴隷として生きてきていたからか、本来の年齢に精神が追いついてなかった。心も弱かった。」
「まぁ…僕だけじゃなくて、日本人全員…とはいわないけど、我慢強いって聞くし…」
「そこで、小さい頃からのを見てた俺達2人は、前から考えていたことを実行してみた。だが、いきなり奴隷になれって言われたところで、そんなのなるやつなんていないのはわかっている。そこで、地球で奴隷制度とかのない日本に絞って、嫌な思いをしていた人たちの中から、ある程度条件にハマる子を選んだんだ。お前、寝る前に無意識かわからんが、「父親から逃げたい」って言ってた。それも条件の一つだったんだ。」
神様は俯いて顔は見せないようにして、鼻をすする音が聞こえてくる。さっきと同じなのに、神様はおとなしくなっていて、さっきより1段と小さく見えた
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