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「うおらぁーー!」
俺は今日も奴に勝負を挑んだ。
得意のパンチで。
前回負けてから何回も何回も練習した渾身の一撃を捩じ込んだ。
しかし奴は嘲笑うかのように大きく抱擁するように受け止め、俺は投げ飛ばされた。
「くそっ!なんでだ!」
涙が出てきた。
生まれてこのかた幾度となく奴とは勝負してきた。
でも1度たりとも勝ったことなんてない。
悔しくて悔しくて血を吐くほどトレーニングしてしたはずなのに・・・。
「無駄だよ。君じゃ僕には勝てない。一生かかってもね。」
捨台詞を吐いて奴は去った。
まだ、諦めるわけにはいかない。
奴に勝つこと。
それだけが俺の生きてる理由だから!
夕暮れ時の帰り道、河川敷を決意に満ちて歩いていた。
「勝負だ!うぉーー!」
後ろからあいつが斬りかかってきた。
いつも卑怯なやつだ。
俺はヒラリとかわし、拳を軽く突き出すと、こいつの頬にヒットした。
「ぐお!」
そんなに強く殴ったつもりはないのだが、こいつは大げさに飛んでった。
「やめとけよ。お前じゃ俺には勝てない。」
全く奴のことで頭がいっぱいなのに、邪魔なやつだ。
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