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こいつとも何回も戦ってきたが、俺は一度も負けたことがない。
ふと思った。
あいつも俺と同じ気持なのかな。
きっとそうなんだろう。
どんなにやけくそになっても勝てない。
そんなことを考えたら奴に勝てる気がしなくなってきた。
いや、構うものか!
あいつはあいつ、俺は俺!
何としても奴に勝ってやる!
数日後、俺はある場面を見かけてしまった。
それは偶然だった。
太陽がギラギラ照らす夏空の下、いつも斬りかかってくるあいつが勝負していた。
相手は、俺が1回も勝ったことのない奴だった。
「ふんっ、俺にも勝てないのに勝てるわけないだろ。」
馬鹿にしながら見ていたら、驚くことにあっさりと奴はやられた。
なんで・・・。
俺はこんなにも苦労しているのに。
あいつはこちらに気付き、近づいてきた。
「ど、どうしてお前が奴に勝てるんだ・・・!」
「・・・相性ってもんがあるんだよ。奴はどうやったって俺には勝てない。信じたくないけど、俺もお前には敵わないんだ。」
「俺も奴には敵わないっていうのか!そんなの、信じてたまるか!」
俺は走った。
ただひたすら、走った。
転んでも立ち上がり走った。
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