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やっと手を離してくれたあき姉は、私を引っ張って家に入ろうとする。
「じゃあな、亜希子」
鳴門さまは、爽やかにドアの向こうに消えようとした。
「あっ、あの!」
私はとっさに、鳴門さまを呼び止める。
「何だい?」
と、きちんと待ってくれる彼は、何て紳士なんだろう。
うっとりとしながらも、私は急いで頭を下げる。
「ありがとうございました」
お祖母ちゃん仕込みの、きっちり45度の礼を見て、鳴門さまはびっくりしていたみたいだけど、ふわっと笑ってくれた。
ドキン!
一瞬、体が浮き上がった気がした。
脳内にピンク色の何かがあふれるような気配。
これって、ホルモン?フェロモン?(どっちかというと、脳内物質のドーパミン)
ああ、何でもいいや、この際。
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