花の色は

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ドアが閉められてからも、私はぼんやりと突っ立っていた。 「早百合、入らないの?」 あき姉が不思議そうに聞いてきたので、私は慌てて、顔を取り繕って、靴を脱ごうとした。 ちょっと待った! ここって、さっきまで鳴門さまがいたんだから、その爽やかな香りがまだ残ってそう。 三和土(たたき)で、スーハ―スーハーと鼻呼吸をしている私に、あき姉は首をかしげていた。 そうだ、彼が何者なのか、あき姉に聞かないと! 「あき姉、さっきの」 「ああ、大誠(たいせい)?あいつは」 「大誠さんって言うの?苗字は?」 勢いよくがっつく私に、あき姉は若干引きながらも、 「森だけど」 と、答えてくれた。 そうかー、森大誠さんか。 でも待って! あき姉は彼氏がいるって言ってたけど、もしかして、大誠さんがその彼氏じゃないの?
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