511人が本棚に入れています
本棚に追加
/498ページ
ドアが閉められてからも、私はぼんやりと突っ立っていた。
「早百合、入らないの?」
あき姉が不思議そうに聞いてきたので、私は慌てて、顔を取り繕って、靴を脱ごうとした。
ちょっと待った!
ここって、さっきまで鳴門さまがいたんだから、その爽やかな香りがまだ残ってそう。
三和土(たたき)で、スーハ―スーハーと鼻呼吸をしている私に、あき姉は首をかしげていた。
そうだ、彼が何者なのか、あき姉に聞かないと!
「あき姉、さっきの」
「ああ、大誠(たいせい)?あいつは」
「大誠さんって言うの?苗字は?」
勢いよくがっつく私に、あき姉は若干引きながらも、
「森だけど」
と、答えてくれた。
そうかー、森大誠さんか。
でも待って!
あき姉は彼氏がいるって言ってたけど、もしかして、大誠さんがその彼氏じゃないの?
最初のコメントを投稿しよう!