511人が本棚に入れています
本棚に追加
/498ページ
「えー、そんなあ」
やっと遅い初恋を迎えた瞬間に、失恋だなんて。
神様は意地悪だ!
あき姉は困ったように私の頭を撫でてくれた。
「さ、とりあえず、腹が減っては戦はできぬ。
おイモ、食べよ!」
でも、あき姉のお母さんが作ってくれた大学芋を、私は半分しか食べられなかった。
いつもはひと皿を完食するのに。
これが、恋の痛みってやつなのね。
初恋は大学芋の味だった。
大誠さんは、あき姉と同い年で、大学4年生。
就職先がこの近くになったので、実家を出て一人暮らしをするために、物件の下見に来ていたらしい。
それからも、学校の帰りとか、回覧板を持っていた時とか、私は無意識に彼の姿を探すようになった。
最初のコメントを投稿しよう!