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そんなある日。
お祖母ちゃんに頼まれて買い物に行った帰り、私の視力1.2(矯正)のレーダーが、麗しの彼の姿をとらえた。
ものすごく速足で近づいて、近くまで行くとスピードを緩めようとする。
が、体育の成績万年2(5段階)の私の運動能力では、そこまで器用なことが出来なかった。
結果、牛乳や大根の入ったエコバッグの重みに引きずられて、ずざざーっと無様に転ぶ羽目になったわけで。
最悪だ。
たまたま通りかかった可愛い(ちょっとぽっちゃりな)女子高生になるはずだったのに、これじゃ、単なる(ちょっとぽっちゃりな)おっちょこちょいの近所の子じゃないか。
いえ、そうなんですけどね。
「大丈夫、さっちゃん?」
「いえ、はいっ」
ところが、彼はエコバッグから飛び出した物を見るなり、プッと吹きだした。
「やっぱり、さっちゃんなんだな」
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