511人が本棚に入れています
本棚に追加
/498ページ
「……ああ、そうだけど?
うん……うん……わかった」
短いやり取りの後、鳴門さまはフッと微笑んで最後に付け加えた。
「うん、俺も好きだよ、奈津美」
好きだよ。
彼の顔が、とても優しいものになっている。
ズキッと、胸が痛む。
あれ?
こんなの想定の範囲内じゃないの。
大誠さんの事は、あき姉に聞いてたんだし、彼女がいるのも知ってたし。
私は急いで転がっていた物をエコバッグに詰め込むと、立ち上がった。
早くここから離れよう。
そうだ。
私はさんざん、あき姉から聞かされていたのに、全然実感していなかったんだ。
だって、私が知っている大誠さんは、優しくサツマイモを渡してくれる笑顔だけだったから。
最初のコメントを投稿しよう!