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「何で、私、お父さんに似なかったのかなあ」
「早百合?」
ぽろっと、涙がこぼれた。
さっきの美しい二人の残像が、まるで映画のワンシーンのように、頭にこびりついている。
「お祖母ちゃんの嘘つき。
ふっくらが可愛いとか、嘘じゃん。
全然可愛くないし」
鏡を見ながらぼそぼそと言う私を、お祖母ちゃんはちょっとつらそうに見ていた。
いっそ、激しくののしって、八つ当たりするくらいのエネルギーがあれば。
私は、あの二人の寄り添う姿に、打ちのめされていたんだ。
私が完全なる敗者だということ。
やっぱり、ぽっちゃりお下げメガネじゃ、誰も見てくれないってことに。
「ちょっと、そこのひねくれメガネ!」
突然、お祖母ちゃんの後ろから、ドスのきいた声がした。
ポリポリと芋けんぴ(ここでもやっぱりサツマイモ!)をかじりながら台所から出てきたのは、ちょっと目の据わったあき姉。
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