花の色は

23/25

511人が本棚に入れています
本棚に追加
/498ページ
「ひねくれメガネって……」 「一部始終は、そこから見せてもらったわ!」 ビシッと人差し指を立てて、あき姉は自信たっぷりに茶の間を指した。 見てたのかよ! ますます落ち込む私を、ドシドシと足音も荒く近づいてきたあき姉が、引っ張りあげるようにして立ち上がらせた。 「命短し、恋せよ乙女、よ!」 と、いきなり宣言されましても。 お祖母ちゃんは隣で、ホホホと笑いながら、のんびり構えている。 「おやまあ、古い言葉をよく知ってるねえ、亜希子ちゃん」 「恋せよって言われたってさあ……ぐっ?」 反論しかけた私の口に、いきなり突っ込まれたのは、鋭い切っ先を持つ芋けんぴ。 危ねー、喉に刺さるところだったよ。 せっかく入れてもらったので、遠慮なくポリポリとかじっていると、あき姉はその形のいい眉をくいっと上げる。 「早百合、あんた、このままでいいわけ?」 と言われましても。
/498ページ

最初のコメントを投稿しよう!

511人が本棚に入れています
本棚に追加