花の色は

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芋けんぴを飲みこむと、私は首を傾げる。 「でもさ、あき姉、大誠さんはお勧めしないって」 「そうよ! あんな、オンナは顔さえよければいい、なんてほざいてるバカ男に、早百合はもったいないわ。 でもさ、やっとのことで来た早百合の初めての春を、このまま散らしてしまうのも可哀想じゃないの」 何か、微妙にけなされているような。 あき姉、ちょっと毒入ってませんか? 私が恨みがましく見ながら、さりげなくあき姉の持つ袋に手を伸ばそうとしたら、すかさずパシッと払われてしまった。 「初恋はねえ、実らないものなの。 でも、このまま朽ち果てたら、早百合はずっとこのままだよ?」 もう一度、鏡に目をやる。 ぶっといお下げに、度の強いメガネに埋もれた目。 何よりも、情けない顔。 「あいつは、きれいな顔なら絶対に振り向く。 付き合う付き合わないは別にして、奴の射程範囲に入りたくはない?」 「……入れる?」
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