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自分には何のメリットもないのに、私のトレーニングに付き合ってくれているあき姉。
私に合わせて、色々と考えてくれた。
自分だって、就職したばかりで忙しいのに。
私は体を起こした。
「止めないよ」
とたんにあき姉は、ぱあっと花が開いたようにきれいに笑う。
「だってさ、大誠さんだって、ずっと上海に行きっぱなしじゃないんでしょ?
また戻ってくるでしょ?
その時までにすっごい美人になって、もっとかっこいい彼氏を作って、羨ましがらせるの!」
本心じゃなかった。
美人になれる自信も保証もなかったし、ましてやかっこいい彼氏なんて、できっこない。
でも、ここまで続けてきたことを、あっさりやめてしまう思いきりの良さもなくて。
これは、私の精いっぱいの強がりだったんだ。
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