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「早百合ー、呼ばれてるよ」
窓際の席で、机に肘をついて、ぼんやりと外を見ていた私は、ことみの声で振り向いた。
ニヤニヤと笑いながら、ことみが近づいてくる。
「ほら、3組の丸山君だって」
はあ、面倒くさいな。
私がいかにも興味なさげに、よっこらしょと立ち上がるので、ことみがぐいぐいと背中を押してくる。
「丸山君、けっこう人気なんだよ?
ほら、行ってこい!」
丸だろうが四角だろうが、鳴門さまのいなくなった日本の男に、興味は持てないんだけど。
そもそも、丸くんとやらが(注:丸山君)私に興味があるはずがない。
どうせ、ことみとかクラスの女子との仲を取り持ってほしいんだよ。
だから、面倒くさいんだって。
今まで、私に声をかけてくる男子といえば、配達の人か道を尋ねる以外は、ミスター橋渡し(いちいち名前を覚える気はない)ばかりだった。
丸君は、誰を指名してくるんだろう。
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